序盤における指し手の選択と考え方

お久しぶりです。先日Twitterを見ているとこんなツイートを見かけました。

 

「将棋が終盤と発言する有段者は序盤の定跡部分を当たり前に指すことができるのでは?終盤型を自称する高段者と(級位者が?)指すと序盤で悪くなるので」(意訳)

原文ママで出すと問題があるかと思ったので、意訳しています。発言者を貶めようというつもりは全くなく、一般論的な話を展開したいだけなのでご容赦ください。

 

上記ツイートを見かけた際に、衝撃を受けました。

終盤型の高段者と序盤型の級位者の序盤力に圧倒的な差がある(高段者>級位者)のは当たり前だと思っていたからです。リプライ等を見ても「当たり前に差がある」という私の考えと同様の趣旨の内容は見受けられませんでした。

 

ですが、私は上記内容が間違えているとは思いませんし、おそらく多くの人に受け入れられるだろうと思っています(わざわざ発言する人がいないだけだろうと思っています)。そこで、少しでも高段者(私は24でR2300前後なので底辺高段者ですが)の考えに触れてもらえればと思って本記事を書くこととします。

 

前置きが長くなってしまいましたが、ここからは私の実戦から序盤において考えていることを嚙み砕きながら見ていきましょう。(かなりうまくいっている棋譜のため、当然もっとぐちゃぐちゃな序盤もあります)

例によってソフトをかけているわけではないため、ガバガバ形勢判断をしている可能性があります。おかしいと思った点があればご指摘ください。

※私は序盤型でも終盤型でもないです。そして序盤研究は現状ゼロです。

 

後手1手損角換わりのオープニング。あまり先手角換わりを志向することはないので、対応に悩んだが、よくやっていた早繰り銀をしたかった。気付いたら78金を上がってしまっていて、早繰り銀+ボナンザ囲いのよくある形を放棄してしまっていたので、路線変更することに。全く詳しくないが29飛48金型のよくある腰掛銀を目指す。

研究をしているわけではないが、1手損角換わりで通常形から外れている(少し得している)ので問題ないだろう。

 

(*1)

一気に進めましたが、前述の通り45桂速攻等は見送り29飛48金型に。後手は52金28飛型なのが珍しいところ(工夫?)。

ここでは当然ながら通常形の後手81飛62金型との比較を考える。

ベースとして先後同型の81飛62金型で44歩と突くのは少し危険で45歩と仕掛けて先手満足の展開になりやすい。そこから1手損しているため、82飛52金型ということである。

ここでは当然45歩と仕掛けることを考えるが、通常形と比較して後手玉が少し硬いものの、65歩からの反撃をしにくいと思われる(62金型でないため、73桂にヒモない、65桂とはねたときに73角と打てるため)。

通常形でも満足できる展開であり、それよりさらに得できていそうという判断のもと、45歩と仕掛けていく。

 

45歩以下 同歩同桂44銀46歩31玉。

この局面で考えることは当然24歩。1歩手持ちにできれば75歩や35歩で攻めに困らない。問題なく24歩同歩同飛23歩29飛と交換できれば満足できそうだ。

気になる筋は24歩同歩同飛13角で29飛46角とされる変化はよく見かける。

ただしそれは81飛62金42玉の形が多く、28歩~33桂~21飛のような逆襲の筋が本譜では存在しない。また31玉の形で2筋を受けずに立ち回るのは後手にとってかなりリスキーな選択であり指しきれないだろうと判断。実際本譜も問題なく飛車先交換に成功する。

先ほどの図から24歩同歩同飛23歩29飛に65歩と反撃に来た。

ここで考えることは(*1)の図で考えていたことと同じ。65歩の反撃は62金型でないため、73角の反撃や73桂が浮いていることがたたりそう。

同歩同桂なら66銀で64歩なら73角。64歩以外なら65銀と駒得する変化が残り、後手が忙しそうだ。

同歩同銀もあるが、64角~73角成~65銀の2枚替えや64角~65銀~91角成のような変化で駒得して受けに回る変化から読みたい。 一方的に47銀同金38角の筋を食らって相手の玉が硬いままに攻められる展開だけ気を付ければ優位に立てそうだ。

本譜は同歩同桂64角を選択し、83飛73角成同飛65銀と2枚替えの変化に。47銀同金38角の変化を応用して47角と打ち込まれる変化を気にしていたが、相手が見送ったためおそらく優勢になった。

 

 

こんなことを考えながら序盤戦をやっているというのを少し触れていただくことができたでしょうか?将棋倶楽部24で1手30秒使えるため、将棋ウォーズの序盤とは精度が当然変わってきますが、おそらく級位者が通常形を頭に入れたうえで、その比較をし続けるのは難しいのではないかと思っています。

おそらく序盤型の高段者は通常形付近の研究が行き届いているため、比較する元になる局面が私よりも膨大にあり、それが序盤の精度につながっていることでしょう。

級位者の方もこれをやれと言っているわけではありません。底辺高段はこんなことを考えているんだなぁと触れてもらえれば私としては幸いであります。

 

余談になりますが、将棋は終盤が大事とか序盤が大事とか議論になることがありますが、私はどちらも大事だからどっちもやるべき、というのが答えだと思っています。

強い人の大半は序盤型になろうとか終盤型になろうとか考えず、どちらも満足いくまでやった結果、たまたま得意な方に偏っているだけだと思われます。

モチベーションを維持できるのであれば、色んな方法で将棋に触れることができるといいですね。

ニッチな内容が多く、更新をほぼしないブログですが、そのうち初心者向け記事とか出せるといいなと思っています。

 

長文読んでいただいた方、ありがとうございました。